夢の中へ踊り出したい雨の日、両国とカレーと消えた切符

探し物をしているとき、頭の中で井上陽水さんの「夢の中へ」が流れ出したら―それは、私がやらかしてしまった証拠。

今日は朝から雨の中、両国駅へ向かいました。 「卒業した」はずの布ぞうり教室のアトリエですが、ありがたいことに「いつでもまた勉強しにきていいよ」と先生に言っていただき、お言葉に甘えてすでに何度か通っています。

雨の両国駅は、たくさんの人で溢れかえっていました。 改札前の見事な土俵のイラスト。一歩足を踏み入れれば、見ず知らずの人たちと同じ土俵に立つことになります。

お相撲さんが通れば同じ土俵に立てるチャンス!

雨の中お相撲さんは裸足に草履でした

鍛えてるから寒くないのでしょう

浴衣も可愛くてお相撲さんと写真撮りたかったな

そんな賑わいに少し調子に乗って、スマホで動画を回したのが運の尽き。 株主様用の切符を落としました。はい、私です。

私は驚くほど「駐車券をなくす女」でもあります。これまで何度、出庫ゲートの前で冷や汗をかいてきたことでしょう。

クレジットカードくらいの厚みがあれば存在を忘れないのに、あの薄い紙がどうしても苦手で、本当によく迷子にさせてしまうのです。

だからいつもは、これでもかとズボンのポケットの奥にしまい、何度も手で触って所在を確認をするのに……。今日はきっと、スマホを取り出した拍子にペラリとやってしまったのでしょう。

しかもその切符、ただの切符ではありません。夫から借りた、京王線にたくさん乗れる特別な切符。 なくしたと気づいた瞬間、心が激しく揺らぎます。更年期のせいではない、これは純粋な動揺。

けれど、お昼に食べたスパイシーなカレーの間だけは、謎の多幸感に包まれていました。 アトリエの近くにある「地球屋」さん。ご飯を少なめにすると、希望でサラダを多めにしてくれる嬉しい心遣い。

温玉も大盛りも無料サービスだそうです。クローブがゴロッとそのまま入ったカレーは、本格的でありながらとても食べやすくて、お腹も心も満たされました。

その後、北斎美術館で可愛い「江戸のわんこ」のポストカードを買い、ホクホクしたのも束の間。

またあの切符の件が頭をよぎり、モヤモヤがぶり返します。

ポケットを何度も確認し、財布を覗き込み……。美術館の警備員さんに「怪しい奴」と挙動を危ぶまれるほど探しましたが、見つかりません。

そのままアトリエで布ぞうりを編んでいる間も、心はモヤモヤしています。 きっといつも以上に難しい顔をして編んでいたに違いありません(いや、普段から難しい顔をしているか)。

頭の中ではずっと、あのメロディが流れています。 「探すのをやめたとき、見つかることもよくある話で……」 私もいっそ、すべてを忘れて夢の中で踊りたい。

帰宅後、これを知った主人がどんな悲鳴をあげるかを想像すると足取りは重く、本当に夢の世界へ逃避したくなりました。

意を決して、帰宅後に正直に白状しました。 すると主人は、いつになくあっさりとこう言ったのです。

「まぁ、しゃあないな」

拍子抜けしました。なんとその切符、5月31日で期限が切れるものだったそうです。 私のあの憂鬱な半日間は一体なんだったのでしょう。

でも、心に固く誓いました。私はもう、主人から二度と切符を借りることはないでしょう。

そして、あの薄い紙の管理がとことん苦手な自分を、改めて思い知った5月。

帰り道に見かけた紫陽花がとても綺麗だったので、もうすべて良しとします。 それでは、今度こそ本物の「夢の中へ」行ってみたいと思います。おやすみなさい。